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お知らせ 2019.02.22
口腔がん
口腔がんとは、その名のとおり「お口の中と唇にできるがん」のことで、いずれの場合でも口の中に「できもの」や「しばらく治らない傷や荒れ」などとして自覚されることが多いです。
日本では年間約7,000人が口腔がんにかかっていて患者数が増加傾向にあります。2015年には約10,000人が罹患すると言われています。アメリカやイギリス、フランスといった他の先進国の口腔がんの死亡率は減少傾向を示しており、積極的な口腔がん対策による早期発見、早期治療が行われてます。口腔がんの治療においては、早期発見と早期治療がとても重要となります。しかし、早期がんは症状がない場合が多く、医療機関への受診が遅れ、がんそのものの診断が遅れることが多いのです。
口腔がんは、直接目で確認でき、手指で触診できるのが大きな特徴です。
症状はさまざまで、表面が白いもの、赤みを帯びているもの、表面がぶつぶつしているもの、こぶのように盛り上がっているもの、深くえぐれているもの、粘膜が剥がれ口内炎のようなものなどがあります。
初期の口腔がんでは痛みや出血はないこともありますが、がんが大きくなってくると、しこりを触れたり、出血・悪臭を伴うようになり、話しづらくなってきたり、食事が食べにくくなったりします。進行すると首のリンパ節に転移すると、リンパ節が腫れたりし、さらに肺、骨、肝臓など他の臓器に転移し、全身的な症状をおこすようになります。
口腔がんはさまざまな要因が作用しているといわれています。
口の中の衛生状態が悪かったり、喫煙と飲酒も危険因子とされています。
また、常に刺激が加わり続けることも発がんにつながることがあり、虫歯によって歯が欠けたり、詰め物やかぶせものがはずれたままになったりしてとがっている歯、適合が悪い入れ歯なども原因として考えられます。
前がん病変(正常粘膜と比べてがんになる可能性が高い病変)である白板症(はくばんしょう)から生じることもあります。
口腔がんは口内炎と間違われることが時々あり、口内炎だと思って放置してしまうとがんが進行してしまいます。
特に早期がんは口内炎と区別がつきづらいものがありますが、口内炎は通常長くても二週間程度で治ります。持続するような場合は口腔がんの疑いがあるので注意しましょう。
治りにくい傷が口腔内にある場合、すぐに歯科医院や病院への受診をお勧めします。
前癌病変とは将来がんになる可能性がある病気で、代表的なものとして「白板症」と「紅板症」があげられます。白板症の癌化率はわが国では約10%とされており、紅板症の癌化率は約40~50%と報告されています。
口腔がんは直接目で見て調べることができる癌です。しかし、早期発見の割合は最も発見されやすい舌でも23%程度、その他歯肉では6%、頬粘膜では8%しか早期に発見されていません。
早期に口腔がんを発見し、治療をすれば5年後の生存率は90~95%で、話す・食べる・飲むといった口の大事な機能も、ほとんど支障がでることはありません。
しかし、進行すると5年後の生存率は約50%に低下し、舌を半分以上切除したり、顔や首などに大きな傷あとが残ったり、話す・食べる・飲むことに支障が生じてしまう可能性が高いです。
早期にがんを発見するために、定期的な検診を受けることをお勧めします。もしがんを疑う所見がある場合、当院では連携している大学病院などに速やかに紹介いたします。